“意図的に、いまこの瞬間に価値判断することなく注意を向けること”
「マインドフルネスストレス低減法」を開発したジョン・カバットジン氏は、マインドフルネスをこのように定義します。また、「判断することなく一瞬一瞬を自覚すること」「今の自分をありのままに見つめること」とも表現しています。
つまり、マインドフルネスとは「在り方(状態)」のことであり、瞑想などの実践を通して日常生活全体にマインドフルネスの状態を広げていくことを目指しています。そのため、「マインドフルネス=瞑想」ではありません。マインドフルネスの実践の一つに「瞑想」と呼ばれるものがあり、ここでいう瞑想が目指すものは、注意を向けている状態そのものです。別の言い方をすると、何かをすることでも、正しくすることでもなく、「存在すること」と説明できます。
マインドフルネスのルーツは禅をはじめとする仏教、東洋哲学です。事実、カバットジン氏は、著書『マインドフルネスストレス低減法』においても、日本文化、禅に大きな影響を受けたと明言し、道元禅師の言葉を引用して解説しています。
そして、マインドフルネスを語る上で外せないもう一人の人物として、ベトナムの僧侶ティク・ナット・ハン氏が挙げられます。ハン氏は「行動する仏教」をモットーに、世界各地でマインドフルネスの指導活動を精力的に行ってきました。
両氏に共通するのは、深い自己洞察と気付き、日々のトレーニングの継続に他なりません。いわゆる一時的なリラクセーション法ではなく、仏陀が示した普遍的なセルフヘルプの方法に自ら誠実に取り組み、その実践経験に基づいた指導を行ってきたのです。
ジョン・カバットジン氏より秘儀であるプログラムメソッドを伝授され、いち早く日本での普及を認められた北山喜与氏(NPO法人人間性探求研究所理事長)は、プログラムの原点に立ち返り、日本人の精神性に適したオリジナルプログラム「マインドフルネス道プログラム」を構築しました。不安定な時代、様々な社会問題が山積するなかで、一人一人が自己認知力を高め、活き活きと生き得る健全な心身を保つメソッドとしての普及が急がれます。